[sor ato e ru]
青空の羽を秘める少年と、堕ちた神の使いに似て非なる者の話
待つ者と追う者
「久シブリー。待っテタヨ」
「お久しぶりです。あれ?彼の方はどちらにいらっしゃるんですか?」
「ああ、館長ね、アイツなら今頃、どこかの世界の組織で偉そうに踏ん反り返ってるよ」
「そうですか、お元気そうでなにより……って、居ないんですか?!楽奈様は?!」
「クァッ!そ、そーだよ。だから、ワタシの代わりにエンを呼んだんじゃないの」
「うあーまじかー結構楽しみにしてたのにーうあー」
「(聞いちゃいナイネ…)ワタシ、この後オ友達と遊びに行くから、その間ココの管理、オ任せスルヨ?」
「あーもうマジやる気なくしたわ…ていうかなんで私なんです?ここで雇ってる他の店番にやらせたらいいじゃないんです?むしろ閉館中なら余計に私が呼ばれる事はなかったんじゃないですかあー?」
「(アイツがいないって分かった途端不機嫌になッタネ…)一応、誰も居なくなったら、ココに住んでるコ達が不安でしょ?澄や三士朗たちに頼むにも、彼らには地下書庫までの見回りは頼めめないカラサ。それを承知で来てくれたのかと思ったんダケド」
「私は楽奈様から手紙が来たから此処に立ち寄っただけですぅー」
「もー…エンは相変わらずストーカーダネェ」
「楽奈様が追いかけて来いと言ったから追いかけているまでです。ストーカー規制法には違反してませんし何よりそれが私の存在義務と理由です。…そういえば、楽奈様が手紙で妙な事を書かれていたのですが」
「妙なナコト?」
「あなたが最近、自身の存在義務を怠ってるような気がする、と」
「クァー?何それ、怠けてなんかナイヨ。楽しいことがたくさんになってきたから、受け入れて楽しく存在してるまデダヨ」
「それが怠慢だと言ってるんです!…彼の方に名を頂いておきながら、今の貴方の態度言動を知ったら、きっと楽奈様は許しませんよ」
「エンが心配してるのはあの事デショ?生憎ワタシにその感情は残されてないから大丈夫ダヨ。悲しいことにね」
「……悲しいことに、ですか?」
「クァ……そんな怖い顔しなイデヨ。同じラクナに囚われたモノ同士、仲良くしようじゃナイノ~」
「……。」
「第一、そんなロミジュリシチュエーションなんて、未だコウノトリを信じてユニコーンとオ散歩してるような少女が好きそうなオ話ダヨネ。エンはそんな少女ちゃんだったか知ラン?」
「っ…!!馬鹿なこと言わないで下さい!」
「所詮はフィクション、抗う所で勝ち目は、ナイ。初めから負ける戦なんてしないのが正解ダネ」
「……(小声で)その言葉、名を失くす以前の貴女に聴かせてあげたいですね」
「クァ?」
「いいえ、なんでもありません」
「あ、因みにあそこの廊下の奥七つ目の扉が館長室だから、留守番中は自由に使うとイイヨ」
「なっ!!そんな!私が楽奈様のプライベートルームに侵入して彼の方の香りを纏いながら好き放題やるなんて恐れ多いいいいやっほおおおい!!(彼方へ走り出す)」
「(言ってるコトとやってるコトが違ウヨ)そんじゃ、あとヨロシクネー」
待つ者と追う者
(或いは 囚われた者と走らされる者)
いつか壊れる世界へ向けて
20110607
ねぇ、館長。死ぬってどういうことかなぁ。
コトバじゃなくて、ここに在る意味としてさ。
生きないことだな。
心臓止まって冷たくなって固くなって二度と動かなくなること。
でもワタシには動いて見えたんだよ。ふわふわだったんだよ。
実際は動いて欲しいという願望だな。弾力があるのは硬直化前だからだ。
でも本には、生きるモノに死がきても、ヒトの中にあるのモノ中で、死んだモノは生きてるって、書いてあった。
気休めだ。生の記憶が在るという事で死の悲哀を慰める行為だろう。
ねぇ館長。館長もいつかそうなるの?死んじゃうの?
あぁ死ぬさ。私も死ぬしお前も死ぬ。いつか動かなくなる。
私達が居る世界が壊れる時が先かも知れないし、私達が動かなくなる時が先かも判らん。
それを阻止する為に戦っている奴も居るがな。
…ただ一つ言える事は、俺の記憶がお前に繋がれている以上、俺が死ぬ時は間違いなくお前も死ぬだろう。
そしてお前が死ぬ時は、俺が死ぬ時でもあるんだ。
それを忘れるな。
【熱に浮かされる話】
概要/三士朗と灯
■三士朗視点。
風邪を引いた三士朗と世話焼き灯。
***
目が覚めて、三士朗は自分の身体が妙に重く感じた。
起き上がろうとしても腕に力が入らず、頭の奥がズキズキと痛む。うっすらと肌に寒気を感じながら、かろうじて寝返りをして、時間を確認する為に携帯電話を開いた。
新着メールが一件。大学で日々、必ず顔を合わす男からだった。
――サンシロ、今日学校来てねーの?――
画面に表示されている時計は正午を回っていた。午前の授業を休んでしまったという焦りよりも、一行で終わる疑問文にもカラフルに絵文字を使って騒がしく動いているメールに目が痛くなる。目蓋をこすりながら、極力予測変換に頼ってメールを返した。
――ねてた。午後からいく。――
このまま起きずに寝ていたい気持ちもあったが、授業を受けない訳にもいかず、いつもよりもスローペースに敷き布団から這い上がった。
立つと身体の重みに加え胃の中まで気持ちが悪い。あぁこれは風邪かな、と軽く流しながら身支度を整えた。靴を履き、玄関の鍵を開ける。
ふわり、と風が吹く。
宙に浮く感覚を最後に、意識が暗闇に消えた。
■三士朗視点。
風邪を引いた三士朗と世話焼き灯。
***
目が覚めて、三士朗は自分の身体が妙に重く感じた。
起き上がろうとしても腕に力が入らず、頭の奥がズキズキと痛む。うっすらと肌に寒気を感じながら、かろうじて寝返りをして、時間を確認する為に携帯電話を開いた。
新着メールが一件。大学で日々、必ず顔を合わす男からだった。
――サンシロ、今日学校来てねーの?――
画面に表示されている時計は正午を回っていた。午前の授業を休んでしまったという焦りよりも、一行で終わる疑問文にもカラフルに絵文字を使って騒がしく動いているメールに目が痛くなる。目蓋をこすりながら、極力予測変換に頼ってメールを返した。
――ねてた。午後からいく。――
このまま起きずに寝ていたい気持ちもあったが、授業を受けない訳にもいかず、いつもよりもスローペースに敷き布団から這い上がった。
立つと身体の重みに加え胃の中まで気持ちが悪い。あぁこれは風邪かな、と軽く流しながら身支度を整えた。靴を履き、玄関の鍵を開ける。
ふわり、と風が吹く。
宙に浮く感覚を最後に、意識が暗闇に消えた。
【らぶコミュ?】兄ちゃんの疑惑
三士朗「兄ちゃんがうさぎを飼い始めたらしい」
灯「あぁ、あの幽霊嫌いのお前の兄ちゃん?一人暮らししてんだっけ」
三「そう。…でさ、うさぎって言っても、なんか変なんだよ」
灯「何が」
三「そのうさぎ、一緒にゲーセン行ったり、似顔絵描いたり、勉強したりするって言ってるんだ」
灯「それ彼女だ。ペットっつうか彼女だろ。彼女!」
三「いや、でもさ…おかしいんだよな。だって名前が…」
灯「名前?」
三「零吉(ぜろきち)っていうんだって。ゼロって呼んでるらしい…」
灯「へぇ?…嘘じゃね?」
三「でもこの前、ZEROって彫られたドッグチェーン買ってたんだよ。しかも明らかに男もののやつで…ゼロが欲しがってたんだって」
灯「…なんか、話が繋がらないんだけど」
三「……だから、オレもかなり混乱してる」
灯「お前の兄ちゃんって、
…………ガチ?」
三「…違う……………はず…」
2011.3/10
三士朗の兄ちゃん登場フラグ…?
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