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【感想文】伊坂幸太郎『残り全部バケーション』

【感想文】伊坂幸太郎『残り全部バケーション』


2014/5/1

p85〈「人を騙すには、真実とか事実じゃなくて、真実っぽさなんですよ」〉

伊坂幸太郎マジック、もとい、「短編なのに長編」シリーズ。
ようは溝口というちょっと危ない系絡みの仕事の下請けする男と、その部下であり独特の観念を持つ岡田の話です。

「検問」がすごくミステリーらしい話で、好きでした。

物語は常に第三者視点で進むものの、溝口と岡田の2人の周辺をなぞっていきます。
「チルドレン」に近い。
ちょっとアンダーグラウンドでコミカルな物語でした。


p225〈「サッカー選手はヒーローじゃねえか。看護師は無名だぞ。無名の、大して高給でもない、見るからに大変そうな仕事を、どうしてやろうと思ったか。『自分が助けてもらったから、自分もそうなろうと思いました』なんてな、感動的じゃねえか」〉

p235〈「相手の弱みを突いたり、ミスにつけ込んだりするんじゃなくてな、相手を喜ばせて、貸しを作ろうってことだよ」俺は笑い飛ばしそうになるのを堪えた。「そんなにうまく行きますかねえ。人ってのは、恐怖や不安で行動しても、感謝の気持ちではそんなに動かないですよ」「まあな」溝口さんは裏口の小さな階段を上る。「でも、試してみる分には構わねえだろ」〉

p258〈「意味とか関係ねえんだよ。八分でも十分でも、飛べるなら飛ぶんだよ。損得じゃなくて」〉



そして相変わらず伊坂ワールドのホモソーシャルが熱い。
高田→毒島→溝口→岡田の一方通行。
あと教授と学生の会話とそれを見る男の表現にホモォを感じました。





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【感想文】世界は、トンデモないものであふれてる。

さくらももこ『ももこのトンデモ大冒険』
2013/4/26

“さくらももこが「トンデモない」という
 相当「トンデモない」大冒険エッセイ。
 読めば、世界が広がる…!!!    かも”



さくらももこが『アミ 小さな宇宙人』という本をきっかけに徳間書店の編集者・石井さんとトンデモ(SFとかオカルトとか)な体験をした話をまとめたエッセイ。

宇宙人に会ったトンデモな博士や大自然の中にトンデモなキャンプに行ったり。
さくらももこのちょっとした好奇心から始まる旅は、トンデモないこと・ものがたくさんある。
宇宙のパワーに興味を示し、大自然のキャンプに挑戦したのち、宇宙人の物語を書いた著者と心を通わし、漢方の仙人にときめき、スプーン曲げに父ヒロシと共に驚く。


地元図書館で「宗教」の分類に置かれていたことからしてトンデモない内容かなと予想がついたし、思わず笑ってしまうようなトンデモな出来事も多々起こる。そんな中でも、さくらももこさんは相変わらずとても柔軟な考え方ができる素敵な人だと改めて実感しました。





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【感想文】美麗なる謎解き奇譚

【感想文】三木笙子『人魚は空に還る』


2014/4/8~4/21


幻想的な事件を廻る、美しき絵師とお人好し記者の明治時代のミステリ。


一言で言うなら、お人好しなホームズ高広(雑誌記者)・と美形ワトソン礼(売れっ子絵師)。
最初、美形な方がホームズでお人よしの方がワトソンかと思ったけど、違います。
その理由は文庫版の書き下ろしでちゃんと説明されているので、読むなら文庫がお薦めかも。


幾つかの、一話完結短編が入っています。
私は「人魚は空に還る」と「点灯人」が好きでした。
特に「人魚~」の方は本当に夢中になってすぐ読んでしまった。
(ネタバレ:しかしいくら曲芸師でも観覧車から人が降りてきたら誰か気付くんじゃないかと思うんだけど、当時の照明はそれもわからないくらい暗かったのかしらん…なんて
全体的に題材が綺麗で幻想的だなぁと思いました。
舞台が明治時代というのも相まって、良い雰囲気を醸し出しています。


p114〈『じゃが、美しいものは美しいから価値があるのではないぞ。美しいものに接した人間が、勇気づけられ、正しい心を持てるから価値があるんじゃ。だがそれをいちいち説明しておると面倒じゃから、簡単に「綺麗なものはよい」と言っておるのだろうな』〉


この小説内では特に「美しいものを大切にする」ということを意識している印象を受けました。
画家である礼が、描く絵も自身も何かと「美しい」と言われている上に
それぞれの章でも何かしら「美しいもの」が注目され、それについて語ることがあったので。
この著者はきっと綺麗なものが大好きで、大切にしてるんだろうなぁ。なんて思ったり。
このコンビ、坂木司の引きこもり探偵を思い出します。それが好きな人には良いかも。


あと小川さんって実在する人物だったんですね。
人魚と赤い蝋燭の話は題名だけ知ってた。なるほど。


 


ただ、…創元推理…男2人…あっ(察し)っていう第一印象を、受けました。


ていうか表紙からして察してください。これ男2人なんで。


お人好しと天才生意気美人ってテンプレなんです?です?
完全に高広×礼かと思いきや
高広争奪戦なんですねありがとうございました。(編集長と礼と義父)
もう、たかひろそううけすぎだろ。ていう。
お義父さんからは跡継ぎに戻って来いって言われるし
編集長田所からは唯一の編集長だから残れだし
礼からはホームズの続きを読めと言われ。
多分今後ロータスにも気に入られるんだろ!気に入られろ!(
既に漫画化もされているようで、ちらっと試し読みしたら
結構綺麗な絵柄で、イメージ通りでした。


続編を読むかどうかはまた気が向いたら…。







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最近読んだ本その2

読み終わったの:
三木笙子『人魚は空に還る』、
さくらももこ『ももこのトンデモ大冒険』、
伊坂幸太郎『残り全部バケーション』、
コナン・ドイル『名探偵ホームズ赤毛組合(青い鳥文庫)』

海外ミステリーは何度も挫折してるので青い鳥文庫なら読めるかなって思ったんだ…。
ちゃんと読めて良かった。けどこれって省略とかされてるのかな。今度はちゃんと大人向けのもの読んでみようと思います。


今読んでるの:
坂木司『シンデレラティース』
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』

シンデレラティースの始まり方が予想以上にケータイ小説(笑)だった。
そろそろ夏だし、ホテルジューシーは読み返したいと思うくらい好きよ。
柿生ちゃんは早くオーナーを迎えに行けばいいよ。男らしくね!←





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【感想文】ドナドナ・お星様

伊坂幸太郎『バイバイ・ブラックバード』

2014/3/26~4/7

【――あのバスに乗せられて、恐ろしい場所へ連れて行かれるその前に、
 付き合っていた彼女たちに別れを告げたい――
 突如現れた、巨大で傍若無人な醜女の繭美と共に、
 星野一彦は、5人の女性に別れを告げに行く。】




太宰治の「グッド・バイ」のオマージュだそうです。
最初、タイトルだけ見て、ビートルズの「Blackbird」とかけてるのかと思いました。
ポールがジョンに送った、黒人解放についての歌。

p75〈「タイムマシンがあったら、おまえを小学校に送り返すのはやめた。おまえの生まれる前に行って、おまえの親たちに避妊を勧める」〉


ネタバレ:星野が天然女たらしすぎてなんも言えねぇ。(笑)

ある意味、星野が付き合った女性の中で1番良かったのは繭美です。繭美マジ天使。
繭美がバイクを10回蹴ったのは、星野が「せめて10回チャンスをくれ」って
言ったのにかかってるんですね。そこに感動しました。


ぶっちゃけまず5股してる男、という設定が好みではなかったのですが、
その先入観がずっと頭に残っちゃってたのでちょっと好きになれませんでした。

星野の性格が「浮気したくてしたんじゃなくて、女の人と仲良くしてたら浮気までいった」っていう、流される性格なのが嫌でした。
正直、ラストの書き下ろしがなかったら印象に残らなかったと思う。

文章は好きだけど、物語は好きではない。
それこそ、旅の仕方は好きだけど、周りの風景があまり好みではなかった気分。
いつも好きな旅行会社だし、きっと今回の旅も面白いんじゃないかな?とか勝手に期待して、
ちょっといつもと違う始まり方をして、こんな旅の仕方もする旅行会社なんだな、珍しいな、
と思いながら、やっぱりあんまり好きになれずに終わっちゃった感じ。

お薦めする文章を書けって言われたらどうやって書こうって迷ってしまう。
「5股してるけど、男女の関係がドロドロしていない」
「あくまでこれはフィクションなので、フィクションらしい女性が可愛い」
あたりを書くと思います。



なんとなく佐藤友哉が同じ題材で書いたら…と勝手な妄想しました。
あのバスで連れて行かれる場所についてそれはそれは暗黒に語ってくれそう。



あと、バネ式針生検を思わず検索してブルっとなった…。





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