[sor ato e ru]
青空の羽を秘める少年と、堕ちた神の使いに似て非なる者の話
FANTASY STORY **
月が昇り始めた頃。
まだ空は群青色。
闇夜の森中、目立つ水色の髪の少年がひとり蹲<うずくま>っている。
「しっかし…なんだってこんな仕事の依頼を受けたんだよー…」
額の汗を拭いながら、少年―シィナは言った。
「仕方ないでしょう。もうほとんどお金残ってないし、
仕事受けないと夜ご飯だって食べられない状況なんだから」
周りに聳え立つ大木の枝の上から、コルトの声が落ちてきた。
恐らく、遥か高くの上まで登っているのだろう。姿は見えなかった。
「なぁ、もうそろそろ今日は休もうぜー。もう夜だぜ、危険だぜー」
徐々に森の木々が黒に染まり始めている。
闇の中の森は只でさえ危険が多い。
わかった、と、小さな声が聞こえると、周りの木々はがさがさと葉を揺らし
落ちてくる葉と共に音もなくコルトが姿を見せた。
その姿は、並の人間だったら、はたと目をとめてしまうだろう。
まず目にとまるのは、後ろにぶら下がっている太めの尻尾。
その尻尾から、コルトが亜人だということを知らせている。
―そもそも亜人は、この世界にとって数少ない種族であり、独自の集落を持っているので
自ら村を離れるといったような事をしない限り、滅多に人前には姿を現したりはしないのだ。
亜人という存在も人目を惹くのだが、コルトにはさらに注目される理由があった。
コルトは、この世界で最も珍しいとされる“漆黒”の髪をしているのだ。
夜に染まる森の中、短く整えられた髪はいっそう黒く、美しく風に揺れていた。
* * *
コルトとシィナの物語。
いよいよ本当の始まり、かなぁ。(ぇ
まだ空は群青色。
闇夜の森中、目立つ水色の髪の少年がひとり蹲<うずくま>っている。
「しっかし…なんだってこんな仕事の依頼を受けたんだよー…」
額の汗を拭いながら、少年―シィナは言った。
「仕方ないでしょう。もうほとんどお金残ってないし、
仕事受けないと夜ご飯だって食べられない状況なんだから」
周りに聳え立つ大木の枝の上から、コルトの声が落ちてきた。
恐らく、遥か高くの上まで登っているのだろう。姿は見えなかった。
「なぁ、もうそろそろ今日は休もうぜー。もう夜だぜ、危険だぜー」
徐々に森の木々が黒に染まり始めている。
闇の中の森は只でさえ危険が多い。
わかった、と、小さな声が聞こえると、周りの木々はがさがさと葉を揺らし
落ちてくる葉と共に音もなくコルトが姿を見せた。
その姿は、並の人間だったら、はたと目をとめてしまうだろう。
まず目にとまるのは、後ろにぶら下がっている太めの尻尾。
その尻尾から、コルトが亜人だということを知らせている。
―そもそも亜人は、この世界にとって数少ない種族であり、独自の集落を持っているので
自ら村を離れるといったような事をしない限り、滅多に人前には姿を現したりはしないのだ。
亜人という存在も人目を惹くのだが、コルトにはさらに注目される理由があった。
コルトは、この世界で最も珍しいとされる“漆黒”の髪をしているのだ。
夜に染まる森の中、短く整えられた髪はいっそう黒く、美しく風に揺れていた。
* * *
コルトとシィナの物語。
いよいよ本当の始まり、かなぁ。(ぇ
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