[sor ato e ru]
青空の羽を秘める少年と、堕ちた神の使いに似て非なる者の話
存在意義
服は着るためにあります。
バッグはモノを入れて運ぶ為にあります。
羽や翼は飛ぶためにあります。
じゃあパソコンはなんのためにあるのですか?
早く計算するため?電卓使えば良いじゃん。
文章を素早く書くため?エンピツで書けや。
なんのためにあるんだろうなあ。
あ、
素早く計算して素早く文字を書くためにあるのか。
うん、なんか違う気がする。
バッグはモノを入れて運ぶ為にあります。
羽や翼は飛ぶためにあります。
じゃあパソコンはなんのためにあるのですか?
早く計算するため?電卓使えば良いじゃん。
文章を素早く書くため?エンピツで書けや。
なんのためにあるんだろうなあ。
あ、
素早く計算して素早く文字を書くためにあるのか。
うん、なんか違う気がする。
curse of green
1.カオス
緑眼は呪いの証―そう云われている世界。
その男も例外ではない。
彼は海賊団船長であり、世界を脅かす。
「俺は、この世界が楽しくてしょうがないな。
この眼をみせれりゃあどんな奴でも恐れを成して逃げてゆく!」
しかし、ひとりだけ、彼を恐れず嗤う者がいた―――…
[2005/11/19]
2.海賊団“コダ”
―彼の名はリト。海賊「コダ」の船長。
愛鳥・コダがその海賊団の名前の由来。
コダは珍しい鳥だ。いつも目を閉じている。
だから、かもしれないけど、いつも船長のそばにいる。
鳴いてるところをみたことがない。
船長曰く「そこらの超美人よりイイ声で鳴くぜ」だそう。
船長が言うとなんか変態みたいだ。
是非、その声を聴いてみたい。
「ああ、ムリムリ。
コダはおれ以外になつかねぇんだよ。な、コダ」
言ったとたんに、コダは僕も船長もいない
海の彼方へそっぽを向いた。
[2005/11/18]
3.過去の記憶
「わぁ…!」
ロイは思わず声をあげた。
目の前に居るのは、今まで見たことの無い鳥。
青い色をした鳥。
「前に、海に行ったときに卵を見つけたんだ。その卵がつい最近
孵ってな。ようやく腕に乗れるくらい成長したんだぜ」
そう言って、腕に青い鳥を乗せた男は笑った。
「なんていう名前なの?」
「…そういえば」
「まだ決めてないの?」
男はうなずいた。雛が孵っておそらく数日は経っていると
いうのに、彼はまだ、この美しい鳥の名前を付けていなかった。
「そうだなぁ…。じゃあ…」
男は赤と青のオッドアイの眼を細めて、
ささやくように言った。
「“コダ”」
と。
[2005/11/25]
緑眼は呪いの証―そう云われている世界。
その男も例外ではない。
彼は海賊団船長であり、世界を脅かす。
「俺は、この世界が楽しくてしょうがないな。
この眼をみせれりゃあどんな奴でも恐れを成して逃げてゆく!」
しかし、ひとりだけ、彼を恐れず嗤う者がいた―――…
[2005/11/19]
2.海賊団“コダ”
―彼の名はリト。海賊「コダ」の船長。
愛鳥・コダがその海賊団の名前の由来。
コダは珍しい鳥だ。いつも目を閉じている。
だから、かもしれないけど、いつも船長のそばにいる。
鳴いてるところをみたことがない。
船長曰く「そこらの超美人よりイイ声で鳴くぜ」だそう。
是非、その声を聴いてみたい。
「ああ、ムリムリ。
コダはおれ以外になつかねぇんだよ。な、コダ」
言ったとたんに、コダは僕も船長もいない
海の彼方へそっぽを向いた。
[2005/11/18]
3.過去の記憶
「わぁ…!」
ロイは思わず声をあげた。
目の前に居るのは、今まで見たことの無い鳥。
青い色をした鳥。
「前に、海に行ったときに卵を見つけたんだ。その卵がつい最近
孵ってな。ようやく腕に乗れるくらい成長したんだぜ」
そう言って、腕に青い鳥を乗せた男は笑った。
「なんていう名前なの?」
「…そういえば」
「まだ決めてないの?」
男はうなずいた。雛が孵っておそらく数日は経っていると
いうのに、彼はまだ、この美しい鳥の名前を付けていなかった。
「そうだなぁ…。じゃあ…」
男は赤と青のオッドアイの眼を細めて、
ささやくように言った。
「“コダ”」
と。
[2005/11/25]
SUMMER VACATION FUN CLUB
学校の屋上は、電柱が届かないほど高い。
その分、空にも近くなる。
おれ達は、校内で空に一番近いところで
大の字になって寝転んでいた。
もちろん空は晴天。
白いもこもこのファーのような入道雲と真っ青のペンキをだくだく流したような空。
おまけに細い光の束があつまった黄色い太陽が目の前にあった。
BGMは熱い鉄板で肉を焼いているみたいな、数匹のセミによるコーラス。
シャツは背中にぴったりとはりついていて気持ちが悪い。
それでもおれ達は、屋上で寝ていた。
「あーぢぃー…」
「当たり前だよ、夏だからな」
おれが吐いたうめきに、横で同じように寝ているシゲが答えてくれた。
そうだ。夏だからな。
こんな、俗に言うカンカンデリの日に、おれ達は直射日光に
身をさらしている事に、特に理由はなない。
学校の予備講習が終わり、ぼーっとした暑さの中で、屋上へ行こうということになった。
ただそれだけだった。
暑さで吐くため息と顔に当たる風は同じ温度だった。
遠くから微かに、波の音と歓声が聞こえる。老若男女問わず。
「そういえば今、夏休みなんだ」
おれ達の学校は市内でも一番海に近く、そして海で有名な町にあった。
当然この季節には遠い都会の家族連れが多くなり、地元の人間達は海になど行かないのだが。
「夏休みってーとさ、なんか宿題多くてヤだよなー。
『なんで休むときに勉強なんかしなきゃいけねーんだ』ってめっちゃ文句言ってよ。
でもよ、おれ朝顔の観察日記つけるのだけは好きだったんだ。
小学生のときに枯らした事なんてなかったんだぜ」
そう言って冗談を言った時のようにシゲに笑いかけた。
しかし、シゲは空を見つめたまま、こう言った。
「おれさ、小学生の頃、夏休み無かったんだ」
おれはシゲからの返事に戸惑った―夏休みが、ない?
空は濁った白色の雲で太陽が隠されて、少し涼しくなった。
「おれ、ガキん頃妙に身体弱くてさ。夏休みになる前からずっと入院て決まっててな。
それが大体、小5まで続いてた。で、小6の時の夏休みには中学受験でつぶれた」
シゲは上を向いたまま、喋っていた。
「だからおれ、楽しい夏休みなんて体験したことねーんだよなぁ」
決して暗くなく、逆に嫌味を言うようでもなく、まるで冗談のような
口調で言い、ゆっくり「うーん」とのびをした。
太陽はまた雲から顔を覗き始める。
おれは暫く考えて、シゲにこう伝えた。
「じゃあよ、今からとことん夏休み堪能すればいいじゃんか、
取り戻せねないワケじゃねーんじゃね?」
今すごく良いこと言ったよ、おれ。
「無理だよ」
開花しそうだった優越感が一瞬でしなびた。同時に、おれの中の気も抜けた。
「なんでそう言い切れんだよ」
寝返りをうってシゲの横顔を見た。汗が上から下へ垂れていく感触がくすぐったかった。
「だってよ、トシ。おれ達はもう知っちゃってるんだぜ」
「知っちゃった?」
「そ。夏の仕組みを、さ」
シゲは時々遠まわしなことを言う。でもその言い方が面白くて、おれはいつも黙ってその続きを聴く。
「……ガキの頃はさ、全く知らなかったじゃん。
朝顔がどうやったら育つかとか、夜の縁日の始まる日とか、
どうして入道雲ができるのかとか、スイカの種を飲み込んだらどうなるか、とかさ。
でも今はもうそういうことは、軽くだけど、わかっちまっただろ。
だからおれが取り戻したい“夏休み”ってんは、もう取り戻せねーんだ」
おれは暫くシゲを見ていた。
汗は全て下へ流れたのだろうか。セミは全て遠くへ飛んでいったのだろうか。
耳に残るのは小さな波の音だけだった。
入道雲は太陽にあてられて白くなっていた。
その分、空にも近くなる。
おれ達は、校内で空に一番近いところで
大の字になって寝転んでいた。
もちろん空は晴天。
白いもこもこのファーのような入道雲と真っ青のペンキをだくだく流したような空。
おまけに細い光の束があつまった黄色い太陽が目の前にあった。
BGMは熱い鉄板で肉を焼いているみたいな、数匹のセミによるコーラス。
シャツは背中にぴったりとはりついていて気持ちが悪い。
それでもおれ達は、屋上で寝ていた。
「あーぢぃー…」
「当たり前だよ、夏だからな」
おれが吐いたうめきに、横で同じように寝ているシゲが答えてくれた。
そうだ。夏だからな。
こんな、俗に言うカンカンデリの日に、おれ達は直射日光に
身をさらしている事に、特に理由はなない。
学校の予備講習が終わり、ぼーっとした暑さの中で、屋上へ行こうということになった。
ただそれだけだった。
暑さで吐くため息と顔に当たる風は同じ温度だった。
遠くから微かに、波の音と歓声が聞こえる。老若男女問わず。
「そういえば今、夏休みなんだ」
おれ達の学校は市内でも一番海に近く、そして海で有名な町にあった。
当然この季節には遠い都会の家族連れが多くなり、地元の人間達は海になど行かないのだが。
「夏休みってーとさ、なんか宿題多くてヤだよなー。
『なんで休むときに勉強なんかしなきゃいけねーんだ』ってめっちゃ文句言ってよ。
でもよ、おれ朝顔の観察日記つけるのだけは好きだったんだ。
小学生のときに枯らした事なんてなかったんだぜ」
そう言って冗談を言った時のようにシゲに笑いかけた。
しかし、シゲは空を見つめたまま、こう言った。
「おれさ、小学生の頃、夏休み無かったんだ」
おれはシゲからの返事に戸惑った―夏休みが、ない?
空は濁った白色の雲で太陽が隠されて、少し涼しくなった。
「おれ、ガキん頃妙に身体弱くてさ。夏休みになる前からずっと入院て決まっててな。
それが大体、小5まで続いてた。で、小6の時の夏休みには中学受験でつぶれた」
シゲは上を向いたまま、喋っていた。
「だからおれ、楽しい夏休みなんて体験したことねーんだよなぁ」
決して暗くなく、逆に嫌味を言うようでもなく、まるで冗談のような
口調で言い、ゆっくり「うーん」とのびをした。
太陽はまた雲から顔を覗き始める。
おれは暫く考えて、シゲにこう伝えた。
「じゃあよ、今からとことん夏休み堪能すればいいじゃんか、
取り戻せねないワケじゃねーんじゃね?」
今すごく良いこと言ったよ、おれ。
「無理だよ」
開花しそうだった優越感が一瞬でしなびた。同時に、おれの中の気も抜けた。
「なんでそう言い切れんだよ」
寝返りをうってシゲの横顔を見た。汗が上から下へ垂れていく感触がくすぐったかった。
「だってよ、トシ。おれ達はもう知っちゃってるんだぜ」
「知っちゃった?」
「そ。夏の仕組みを、さ」
シゲは時々遠まわしなことを言う。でもその言い方が面白くて、おれはいつも黙ってその続きを聴く。
「……ガキの頃はさ、全く知らなかったじゃん。
朝顔がどうやったら育つかとか、夜の縁日の始まる日とか、
どうして入道雲ができるのかとか、スイカの種を飲み込んだらどうなるか、とかさ。
でも今はもうそういうことは、軽くだけど、わかっちまっただろ。
だからおれが取り戻したい“夏休み”ってんは、もう取り戻せねーんだ」
おれは暫くシゲを見ていた。
汗は全て下へ流れたのだろうか。セミは全て遠くへ飛んでいったのだろうか。
耳に残るのは小さな波の音だけだった。
入道雲は太陽にあてられて白くなっていた。
カレンダー
はじめまして。
はじめて来られた方はカテゴリの「説明+α」をお読みください。
カテゴリー
AD
最新記事
(10/14)
(12/08)
(03/06)
(10/08)
(10/04)