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洋菓子店へ行く道

大学の友人へ贈るプレゼントを買いに、地元で有名な洋菓子店へ行った。
そこは小さい頃から知っているお店で、誕生日ケーキは生まれた時から小学校卒業するまでずっとそのお店のケーキだった。中でも動物クッキーはパンダの顔をした店長手作りのクッキーで、すごく思い出に残っている。
そのクッキーもあればまた食べたくて、自転車に乗って行ってきたんだけど、
行く途中に、生まれてから小学生の時まで住んでた団地を通るんだが
そこの半分が取り壊されてて、工事現場になっていた。
そういえばそんなのをやってるな、と聞いたことはあったけどしっかり自分の目で見てはいなかった。所々から覗くコンクリート色の平地に、幼い頃遊んだ公園の面影は全くなかった。
寂しいなと思いながら、残る団地を見ると、唯一と言える洗濯物を干した3階のベランダから、老人が植木鉢の植物に水をやっていた。
そんなものを見上げつつ自転車をこいでいたら、ガードレールにぶつかり、前を走るピンク色のおばちゃんはチラチラこっちを見ながら去っていった。
洋菓子店は今と変わらない造りだったけど、5歩で端から端へ歩けてしまう程で「こんなに狭かったっけ」と驚いてしまった。
幼い頃食べたケーキは変わらずに並べられてて、どんな味だったか今も思い出せる。
動物クッキーの置いてある棚は変わってなくて、商品もあったけど、
クッキーは別の形に変わっていた。パンダではなくなっていたし、人形のように体がついていた。
手に取ってみたけど、買う気にはなれなかった。

帰り道、昔育った残っている方の団地を通って帰ることにした。
商店街はあんなに人がいたのに、今は半分がシャッターを下ろしている。幼稚園児の頃世話になった駄菓子屋には誰もいなかったし、魚の叩き売りをしていたおじさんは小学生の頃から来なくなったのを思い出した。
唯一の遊び場に子供は走っていなかった。日陰で座る老人と集会所に止められた自転車だけが懐かしかった。
右へ行くと私が住んでいた団地がある。洗濯物がなびいていたので、人が住んでいるんだと嬉しいやら悲しいやら。
あのゴミ置き場は危ないから入るなと注意された所で、幼稚園の友達としょっちゅう中へ入って遊んでは宝物というゴミを集めて置いていた。
後ろから自転車に乗った小学生が私を追い越しながら「俺たちの秘密基地にしようぜ」と駆けていく。向かう先に見覚えがあり、後を追う様について行く。そこは過去、私が秘密基地と呼んでいた団地の裏の草が生い茂った場所だった。
大きなリュックサックを背負った2人の少年達は秘密基地の中へ走っていった。あの場所は今も秘密基地だったのだ。

帰り道へ戻ると、桜と銀杏の木に挟まれた通り道がある。そこを私は勝手に「季節のトンネル」と呼んでいた。夏の今は緑が生い茂って、まさに木洩れ日を差していた。幼い頃の姉が怪我をした箱ブランコは、怪我をする子供が後を絶たないので小学校の頃に撤去された。別の青いブランコがある場所はカラフルな赤と黄色に塗り替えられていた。奥の広場の塀はこんなに低かったのかと感じ、ボールを当てていた絵は落書きかもしれないと思った。
先へ進めばいつも眺めている道路へ出る。信号を渡った際に、またあの秘密基地が思い出される。
悔しいが秘密基地は譲ってやろう。あそこは変なおっさんが怒ってくるから気をつけろよ、と、遠くの少年達へ言葉を贈る。
あそこはこれからも子供達の秘密基地なのだ。






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