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FANTASY STORY 5

「頼むから、ここは退いてくれないか」
先程よりも低く、唸る様に声を出す。

この時、野生獣なりに何かを感じとったのかもしれない。
フーッと一瞬強く威嚇したかと思うと彼は背をむけて森の闇の中へと走り去った。
姿が見えなくなったのを確認して、コルトは込めていた力を一気に抜いた。
先ほどまで硬くなっていた尻尾もふわりと脚に当たる。
「…おいで、もうでてきても平気だよ」
コルトが向けた目線の先―闇で深緑に染まった雑草の間から
姿を見せたのは、白い毛並の子兎だった。
まだ先ほどの野生獣に襲われたことが後を引いているのか
小刻みに体を震わせていた。
目線を合わせるように屈み、右手をそっと指しのべる。
「大丈夫。私は君を食べたりはしないよ」
子兎の赤い目はじっとコルトの目を見つめている。
しばらくして、ひょん、と小さい体が前へ動き、コルトの手元までやってきていた。
ひくひくと動く小さな鼻が可愛らしい。
コルトはゆっくりと左手を差し出し、両手で包むように子兎を胸の前に抱き上げた。
ころころと丸く、あと少しでも力を加えれば崩れてしまうような柔らかさだった。
震えは収まっていたものの、小さな心拍を肌で感じることが出来た。
動物といえど感情はあるはずだ。きっと底知れぬ恐怖だったに違いない。
死の可能性を感じる恐怖。
それほど残酷で纏わり付くものはない。
コルトの胸の中である記憶がざわめきだした。
「……もう、大丈夫だから」
不意に口にした言葉は子兎に向けられたものなのか、
あるいは自らに向けられたものなのか。
コルト自身もわからなかった。
子兎の鼓動は温かかった。





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久々のファンタジーストーリー。
今日の更新で「中間後書き」にコメントを書く様にしました。
つたないファンタジーストーリー。
どこまでいつまで続くかな!(ぇ

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