[sor ato e ru]
青空の羽を秘める少年と、堕ちた神の使いに似て非なる者の話
【君に捧ぐ、】
過去に書いた小説。
ある人とある人の関係。
甘い。
かっこつけた彼と子供っぽい語り手。
「い、ゼロ、う?」
「アイ、ラブ、ユー、だよ」
気分を変えたくなって、メールアドレスを変えた。
迷惑メールが送られてくるのも厄介なので、英数字をごた混ぜにしてちょっと工夫。
その中の一部に『i0u』の3文字を用いてみた所、彼は興味をもってくれたみたいだ。
「なんでゼロがラブなわけ?」
「テニスとかの得点を言う時にラブって言うじゃん?だから」
と説明すると、あぁ、とも、ほぉ、ともとれる多分納得したであろう相槌を打たれ、すぐに
「愛の言葉も書きようによっちゃ安っぽい暗号になるんだな」
と返された。
これでもちょっとは悩んで考えたんだけどな…。
「こんな簡単に愛の言葉は使うもんじゃない。英語の場合は特にだ」
「英語の場合は?」
そう、君は短く頷いて
「その文を日本語に訳した時、昔はなんて言われてたか知ってるか?」
と得意気に問い掛けてきた。
こうやって、頭の良い彼が雑学を披露するのは二人の間でよくあること。
普段は初めて聞くような知らない事を教えてくれる君だけど、今回は違うんだなぁ。
「あ、それなんか聞いた事あるよ!えーと」
前にどこかで知った記憶を頭の中の奥から掘り返す。
そう、確か…
「『君の為なら死ねる』だっけ」
「『貴方の為なら死んでも良い』だな」
「どっちでも一緒でしょー」
「全然違ぇよ」
相手を想う気持ちが強いという意味ではほぼ変わらないと思うんだけど、彼にとっては違うらしい。
相変わらず細かいなぁ。
「でも英語ではあんま口に出して使わないよね。よっぽど気分が乗ってないと」
「俺だったらさり気なく言うね」
「日本人に?」
「うん」
「嘘だァ」
いくら君がかっこよくても、それはきっと難しいんじゃないかな。
軽く笑ったら、君が少し不機嫌になったのが表情にちらりと見えたので、ちょっと用心する。
「だって、さっき言ってたじゃない。そんな簡単に使うんじゃないって」
「それは、本気で自分の心臓を捧げられる奴が出来た時にしか使うに相応しないってことだよ」
そう言って彼はすぐにこちらへ背中を向けて、読み途中だった雑誌を自分のバッグにしまい始めた。
彼の言葉の意味を理解した時、過去に君が命を捧げたひとにちょっとだけ嫉妬をした。
それは何人くらいいたの?
なんて聞く事はできなくて。
「おーい、そろそろ行くぞ」
「え…、あ、待ってよぅ!」
気がついたらもう出て行く時間になっていて、君は仕度をさっさと済ませてドアの前に立っていた。
君がドアノブに手をかけた時、あ、と声をだして
「そうだ、お前に言いたいことがあるんだ」
とこちらに振り向き、
「I love you」
と耳元で囁かれた。
突然のことに反応ができなくて、ただ自分の顔が急激に熱くなるのがわかった。
気がついたら彼は既に外を歩いていて、慌てて後を追いかけた。
うん、確かにさり気ない。
しかもそれがとても君に合っていて
かっこよすぎでしょ…。
悔しいから、先に進んでいた彼の背中に飛びかかって
言ってやったんだ。
「それはこっちの台詞だよ!」
2008/04/08
ある人とある人の関係。
甘い。
かっこつけた彼と子供っぽい語り手。
「い、ゼロ、う?」
「アイ、ラブ、ユー、だよ」
気分を変えたくなって、メールアドレスを変えた。
迷惑メールが送られてくるのも厄介なので、英数字をごた混ぜにしてちょっと工夫。
その中の一部に『i0u』の3文字を用いてみた所、彼は興味をもってくれたみたいだ。
「なんでゼロがラブなわけ?」
「テニスとかの得点を言う時にラブって言うじゃん?だから」
と説明すると、あぁ、とも、ほぉ、ともとれる多分納得したであろう相槌を打たれ、すぐに
「愛の言葉も書きようによっちゃ安っぽい暗号になるんだな」
と返された。
これでもちょっとは悩んで考えたんだけどな…。
「こんな簡単に愛の言葉は使うもんじゃない。英語の場合は特にだ」
「英語の場合は?」
そう、君は短く頷いて
「その文を日本語に訳した時、昔はなんて言われてたか知ってるか?」
と得意気に問い掛けてきた。
こうやって、頭の良い彼が雑学を披露するのは二人の間でよくあること。
普段は初めて聞くような知らない事を教えてくれる君だけど、今回は違うんだなぁ。
「あ、それなんか聞いた事あるよ!えーと」
前にどこかで知った記憶を頭の中の奥から掘り返す。
そう、確か…
「『君の為なら死ねる』だっけ」
「『貴方の為なら死んでも良い』だな」
「どっちでも一緒でしょー」
「全然違ぇよ」
相手を想う気持ちが強いという意味ではほぼ変わらないと思うんだけど、彼にとっては違うらしい。
相変わらず細かいなぁ。
「でも英語ではあんま口に出して使わないよね。よっぽど気分が乗ってないと」
「俺だったらさり気なく言うね」
「日本人に?」
「うん」
「嘘だァ」
いくら君がかっこよくても、それはきっと難しいんじゃないかな。
軽く笑ったら、君が少し不機嫌になったのが表情にちらりと見えたので、ちょっと用心する。
「だって、さっき言ってたじゃない。そんな簡単に使うんじゃないって」
「それは、本気で自分の心臓を捧げられる奴が出来た時にしか使うに相応しないってことだよ」
そう言って彼はすぐにこちらへ背中を向けて、読み途中だった雑誌を自分のバッグにしまい始めた。
彼の言葉の意味を理解した時、過去に君が命を捧げたひとにちょっとだけ嫉妬をした。
それは何人くらいいたの?
なんて聞く事はできなくて。
「おーい、そろそろ行くぞ」
「え…、あ、待ってよぅ!」
気がついたらもう出て行く時間になっていて、君は仕度をさっさと済ませてドアの前に立っていた。
君がドアノブに手をかけた時、あ、と声をだして
「そうだ、お前に言いたいことがあるんだ」
とこちらに振り向き、
「I love you」
と耳元で囁かれた。
突然のことに反応ができなくて、ただ自分の顔が急激に熱くなるのがわかった。
気がついたら彼は既に外を歩いていて、慌てて後を追いかけた。
うん、確かにさり気ない。
しかもそれがとても君に合っていて
かっこよすぎでしょ…。
悔しいから、先に進んでいた彼の背中に飛びかかって
言ってやったんだ。
「それはこっちの台詞だよ!」
2008/04/08
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