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未完【冬空の星と僕らの歴史】

※この小話には同性愛描写が軽く含まれます
※この話に登場する人物は、某方々をモデルにしていたりしますが、
実在する人物、関係者、団体には一切関係ありません。

ご注意ください。


***



「あっれー…」
「どないしたん?」
「デザートないやん」
「ああ、昨日ので最後やったんやね」
「ちょっと買うてくる~」
「よっぽど食べたいんやね…」
渋々と彼は自分のお気に入りである自転車の鍵を渡してくれた。
玄関から外へ出ると、透き通った夜空には
都会の明かりにも負けていない
小さな星がふたつ、ちらついて見えた。


【冬空の星と僕らの歴史】


ありがとうございました、なんて義務的な言葉を聞き流して、俺は帰路を急ぐ。
あの家から大した距離でもないのだが、なにせトレーナーの上にジャケットを羽織ってきただけの簡単な格好だったので、素のままの手には風があたり、感覚がほとんどなくなっていた。
まだの秋の終わり程かと思っていた季節は、夜の空気の冷たさに目が覚める。
彼の家に着くと飛び込むように入った。すると、こちらがただいまと言うよりも早く彼はおかえりと言ってくれた。煮物の匂いをさせた菜箸を持ちつつ、こちらを向く。
「寒くないん?」
「…あたりまえやん」
その余りにとぼけた受け答えが妙に可笑しかった。


テーブルの前に座り、買ってきたプリンと、彼の好きなビールを机に置いた。

「何買うてきたん?」
「プリンは俺のや、せやからビールはお前の」
「うわ、生クリームまでのってるやつやん。お前また太っても知らんぞー」
「お前に関係ないし~」
笑いながらプリンの蓋を剥し、とれるとほぼ同時に缶ビールの空気が弾け抜ける音がして、そちらの方へ目を向ければ、それはそれは美味しそうに酒を飲む男が居た。ぷはあ、と口から缶を離し、満足顔で彼は言う。
「やっぱ料理した後の酒は格別やな!」
「まだ作ってる最中やん」
「もう終わてるもーん」
『もーん』て、何や、ほんま可愛いなお前は。
後々考えればくだらない事を頭に置きながら、プリンを口へ運ぶ。
「なぁ、」



電子レンジの音が鳴ると彼は再びキッチンへと向かった。
あいつが戻ってきたら二人で夕飯を食べ始めよう。
そう思って、プリンの最後の一口を食べ終えた。






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