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【be warmhearted】

「ねぇ」

背中に温もりを感じた。
猫のような声で僕の名前を呼ぶから、すぐに君だとわかる。
「何?」
目を合わせて話さないと拗ねるだろうから、読んでいた本から目をを離した。

「ひま。」
後ろから僕の肩に顎を乗せて君は呟いた。
「遊んでー。」
気がつけば僕の腰には君の腕が周っている。我が儘に甘えてくる君を、僕はつい甘やかしてしまう。
「じゃあ、何する?」
「んーと…」


「なんかおもろいことやって!」
「…無茶振り。」
残念だけど期待に応えられる自信はない、という顔をしたら
「なんでもええよ。」と、余計に困る言葉を返された。
「なんでもええから、何か話そうや、そないな意味分からん本ばっか読まんで!」
そう言って僕の手からハードカバーの本を奪った。仕事で使う専門書を、君は眉間に皺を寄せて読み、閉じた。
「むずい~。」
「そらな。」
いじけた君はまるで子供みたいで、少しおかしかった。僕が本を返して貰ったら、また考えて、
「じゃあ、こうしよ。」
と、勢いよく飛び掛かって来て、僕を座椅子代わりにしてちょこんと座った。傍に近付いたからか、さっきまで君が飲んでいたコーヒーの香りを感じた。
「でも……おもいし、動きづらいなぁ…。」
「もー、じゃあどないしたらえぇの!」
「素直に座っとったらええやんッ」
勢いで思わず乱暴に言うと、目を見開いて君は黙ってしまった。
まずいと思った時には手遅れで、見ると君は俯き、そしてぽつりと呟いた。
「折角…一緒にいられるやん。」
俯いた顔では表情がみえない。それでも声は、微かに震えていた。
「久しぶりに傍にいられるんやから、もっと構ってほしいんよ…。」

淋しげな君の言葉に、心臓が疼いた。

最近は、僕の仕事が忙しくて会えない事が多くなっていた。こうして二人で居られる事も今年に入って数える程しかないくらいで。
こうやって温もりが感じられる時間は、僕達にとって大切なものだった。

考えていくうちに、とても申し訳がなくなって、反省をして君の顔を見た。
「ごめん…な。」
すると、さっきまでの雰囲気とはまるで違う、目に星があるような瞳で僕を見た。
「じゃあ今日はずっとこうしててええ?」
ぴったりと横に付かれて右手をぎゅっと握られた。
困る僕を見ながらにこにこと微笑む君。そして僕は溜め息をひとつ。
「ええよ。」
やっぱり少し動き辛いけど、君が笑顔でいてくれるならと、小さな君の手を優しく握り返した。

『今日』が過ぎてしまえば、また『仕事』が僕達の距離を作るだろう。
それでも君は僕の近くへ来てくれる。

手を繋いでいてくれる。

だからその手を離さないように、
僕もしっかりと繋いでいてあげるよ。


君の温かさを、僕の全てで感じながら。







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また書いちまった…。
"君"の性別は敢て中性的にしましたよご自由に考えて下さいな。(笑)
この小話にもまたモデルになった人たちがいますが、
やっぱり名前は伏せておきます。どうせすぐわかるです。

小悪魔が書きたかったの…!!(バレる)



本当は五感を全て描きたかったのですが、
味覚で断念しました。
味って………(笑)

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