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02.人間なんてそんなものだよ

宙を眺める者は、もうこの世には居ないのだよ――・・・
貴方だけですよ、信じているのは――・・・
もう、手遅れなのだ――・・・




――【神ガ死ス時】――


「嗚呼」
東の龍が鳴きました。
「近い」
龍は静かに、悟りました。
まだ花は静かに眠っています。
「もう、少しも、待てないのだろうか」
それは小さな呻き声。
遠くに居る愚かな者には聞こえません。
「もう、無理ですよ」
龍の隣の雀は答えました。
「貴方はもう限界です」
赤い雀は目を伏せます。
「止めて下さい」
紅の羽根に一雫、哀しく冷たく伝います。
「彼らにはもう届かない」
西より届く虎の声。
「この世は破滅を待つだけだ」
白い尾はゆらりと揺れて。
「我らも落ちぶれたものよ」
漆黒の亀は静かに囁き、青い宝を見つめました。
「愚かなものだ」
「人間なんてそんなものだよ」
虎の諦めが混じるその呟きに、皆は言葉をなくします。


「そろそろ、終わりにしては如何かね」
黒の亀は諭します。
漆黒の瞳に、微かに光がおびました。
「私も彼らの一人を信じたのは、一度きりだった」
懐かしい歌を謡うように語ります。
「彼は最期まで、私を信じてくれていた」
「永く彼らを見てきたが、今にもそれが最後だった」


言葉を無くす各々が見つめるものは
美しく、しかし醜くなりつつある宝石。


「だが」


「最期にひとつ、光を望んでも良いだろうか」
青い龍は、もう永くありません。
其れでも光を望むのは、彼が彼らを信じているからなのでしょう。
「貴方の望みなら」
朱色の翼を輝かせ、雀は微笑みました。
「此れが最後だ」
白い鬣<たてがみ>を靡かせて、虎は大地を揺るがす雄叫びを上げます。
「悔いは、無いのだな」
漆の甲羅は艶を増し、鋭く光ります。

「ああ」


霞みのない意思と共に
竜の蒼く澄んだ鱗は空へ融け
白い竜へと姿を変えて
青の宝石へ向かいました。


神々の嘆きを伝える為に

彼等を救う為に

命を削る青の竜












世界が滅ぶ 数年前のおとぎ話。








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BGM/ONE's:迷森

参考資料
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E7%A5%9E

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